自由連想。
キーワード: あり得ない状況,トレース小説家というのは,どのように小説を書いていくのだろうか。何人もの登場人物がいて,ある状況があって,それを展開させて行く。だいたい,人格をいくつも保持するのが大変だ。私のように,他人の気持ちが分からないような人間は,他人の人格を作り出すということが想像できないのだ。
小説というのは,ある人格を持つ登場人物がいて,その人物が,あり得ない状況に放り込まれることから始まる。その状況は,状況というのはすべてそうだが,時系列で並んでいるものである。状況を説明するのに,過去からずっと並んでいる時系列の最初から説明していると,人生が終わらない。どこから書き出すかはきわめて重要であるが,極めて困難でもある。
小説というものが面白いのは,そのあり得ない状況に陥った人間が,何を思い,どうやって対処していくかを見ることができるという点にある。自分とは違う状況におかれた人間は,自分とは違う反応を示す。その行動をトレースする。得られるものは何だろうか? 実は何もないのではないか。